- 研究目的(概要)
- 子どもの情報メディア使用の現状を追認する対症療法的な情報モラル教育が,これまで多く試みられてきたが,子どもの情報メディア使用によって生じる様々な問題の抜本的な解決には至っていない.それは,子どもの成長にとって,理想の情報メディア環境,理想の情報モラル教育はどのようなものかと問う観点がなかったことが大きな一因であると考えられる.
そこで,本研究では,子どもの社会性と責任能力の発達について把握した上で,子どもの成長にとって理想的な情報メディア環境を提案し,その環境下で実践する情報モラル教育の内容と方法を策定することを目的とする.
- 研究計画・方法(概要)
- まず,子どもの社会性と責任能力の発達を把握するための調査研究を行う(26年度).子どもの社会性の発達に関しては,コールバーグの道徳性の発達段階(3)を元にして年齢による理解可能な情報モラルを明らかにし,子どものダンバー数(4)の調査研究を行って年齢によるコミュニケーション能力を明らかにする.子どもの責任能力の発達に関しては,村田他の研究(5)を元にして年齢に応じた情報メディアの使用方法を明らかにする.
次に,それらの結果を用いて,子どもの理想的な情報メディア環境を提案し,その環境下で実践する情報モラル教育の内容と方法を策定する(27年度).また,現状の情報メディア環境に合わせて,実践可能な内容と方法に変更した授業を実践し,研究の評価を行う(28年度).
- 研究成果
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- 理論的な基礎研究
- 【ダンバー数に関する調査研究】
- ・高校生と大学生に対するアンケートを用いたダンバー数調査方法について,村田育也・阿濱茂樹・河野稔・長谷川元洋,日本教育工学会第30回全国大会講演論文集,pp.687-688,2014
・社会的ネットワーク親密度の尺度構成の試み,河野稔・村田育也・阿濱茂樹・長谷川元洋,教育システム情報学会2016年度第6回研究会研究報告,査読無,pp.159-166, 2017
- 【情報メディアの8つの特性】
- ・情報モラル教育における教育者の視座について,村田育也,日本情報科教育学会第3回研究会報告書,査読無,pp.14-17,2014
- ・人間に対する影響に着目した情報メディアの8つの特性 −情報モラル教育の視座を決めるために−,村田 育也,日本教育工学会研究報告,査読無,JSET16-2,pp.141-146,2016
- 授業実践研究
- ・高校1年生に対する情報モラルに関する基礎的学習指導実践について,教育システム情報学会第39回全国大会(和歌山大学)(村田育也・坂口和紀)講演論文集 pp.213-214, 2014
- ・限られた時間で行う情報モラル教育で指導すべきことは何か −高校1年生に対する情報モラル講習の結果を踏まえて−,日本情報科教育学会第8回全国大会(山口大学)(村田育也・坂口和紀・阿濱茂樹・河野稔・長谷川元洋)講演論文集 pp.41-42, 2015
- 情報モラル授業の実践研究
- ・小学校におけるギュゲスの指輪を用いた情報モラル授業の改善と実践,村田育也・阿濱茂樹・河野稔・長谷川元洋・池田隆,日本教育工学会第31回全国大会講演論文集,査読無,pp.431-432,2015
- 教材開発(小冊子教材)
- ・小冊子教材「むかし話から考えて学ぶ情報モラル」
- ・むかし話で考えて学ぶ情報モラル教材の開発 ‐情報メディアの特性に着目して‐,村田育也・阿濱茂樹・河野稔・長谷川元洋,日本情報科教育学会第8回研究会報告書,査読無,2017
- 教師教育授業実践
- ・教員養成課程における情報社会の特性を意識させた教材開発演習の取り組み,阿濱茂樹・村田育也・長谷川元洋・河野稔,日本情報科教育学会第8回全国大会(山口大学)講演論文集 p.124, 2015
・教職大学院における現職教員に対する情報モラル教育法の授業実践 他大学における学部授業「教職実践演習」と協働して,村田育也・阿濱茂樹,日本教育工学会第31回全国大会講演論文集,査読無,pp.863-864, 2016
- ・教員養成課程における情報モラル教育の教材開発演習〜現職教員との授業計画協働演習〜:阿濱 茂樹,村田 育也,長谷川 元洋,河野 稔,日本情報科教育学会第6回研究会報告書,査読無,pp.36-39,2016
- ・協働学習による情報モラルに関する学習指導力向上の実践 〜教員養成学部と教職大学院の連携を通じて〜,阿濱茂樹・村田育也,日本教育大学協会研究年報,査読有,第35集,2017
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